夜勤週間と休みで生活リズムずらしてるせいか、
夜勤週間のときは眠くて頭が回らない私です。('、3[____]
そんなこんなで予約記事。寝る直前に書いてるのでgdgdしてると思います。

■息抜き■
la-101







やっとこっちの方でも描けた。自作品の中で凍結した不遇な子――と思ったけど、
エイプリルフールに出たり、ハルティエル2でもイラストは出たり……やっぱり優遇されてる気もする。
うちの子関係だと優遇不遇してるつもりはないですが、
フロリア、ティーレ、ハロウィー辺りは……ごにょごにょ。
前にも書いたけどこういう話は良くないですね。(ヽ´ω`)
でもやっぱり描いてると意識してしまいます。

■雑記■

読み手を引き込む実況力ある文章が書けない。('、3_ヽ)_
ちょこちょこ第一案のシチュを書いてたのですが、なーんかこう回りくどいというか……
どんどんテンポ悪くなって、キーボードが乗らないです。
10000文字以内に一つの話を書けって条件付けたら、きっと書けないんじゃないだろうか?

戦闘シーンの語彙力がないなら、セリフで勢いつけるしか……と思いつつも
やっぱり少しは※地の文入れたいと思ったり――

※=ハルティエルは男に風魔法を放った――的なあれ。
これを 風の刃が空を切り裂き、男へ放たれる。
何か微妙な例えだけど、こういう地の文で書きたい。

ピンチによる色気を出したいのに、さっぱりした文章、
結局 ~をした、~る の流れになっちゃったり……。
書いてく内に、頭も疲れてどんどん単調に――。(ヽ´ω`)
語彙力なくても惹きつける人は惹きつけるからなぁ。あの勢い欲しい。

自分用メモならシチュ展開の確認だけが目的なのでそれでも良いんだけど、
「今年SSを投稿してみます」と書いた記憶あるんだよなぁ。('、3_ヽ)_
わ、忘れたフリを……止めとこう。(汗)

あと私、接続詞? 言葉の語順がおかしいので出来れば直したい。
■追記■追記の文であった。「何であなた達、そんな流暢に」のところですね。
これ、「あなたたち、何でそんな流暢に喋れるの?」の方が読みやすい。ってか正しい気がする。
この語順のズレ、ほんとクセになってるので直したい。

…………とりあえず今日は寝よう。

それでは~。Zzz(=ω=*)

■追記■
途中絵
20170527





肩回りから下書き必要。

久しぶりにうちの子(カンナ)を息抜き中・・・。
…………久しぶり?( ˘ω˘)
あれ? ……ひさ……しぶり……?( ゚д゚)
この子、ヘッダーとキサラの4コマでしか描いたことないかもしれない。
2014年まで過去絵を確認しましたが一枚もありませんでした。(汗)




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最終更新日:6月1日。(word表記では25082文字:4ページ構成)

 

 

研究洞窟の調査、及び行方不明者の救出――

私はその依頼を受けただけだった。もっと言えば誰も帰ってこない洞窟の状況を確認するだけ――状況を確認したのち応援を要請してから救出しようと考えていた。

なのに――

「げひゃひゃ! どうした!」

「くっ!!」

どうしてこんな状況になったのか分からない。

そう【分からない】――。

自分がどうして敵地のど真ん中に立ち、モンスターと戦っているのか分からないのだ。

ただ一つ言えることは――

 

いま私はかつてないほどの窮地に立たされている。

 

----------深紅の魔法剣士 黒の催眠術師編----------

 

『マスター、この依頼は何ですか?』

 

魔法剣士【アーシャ・リュコリス】は看板に貼られた一枚の用紙に指を指し、カウンターでグラスを拭いている銀髪のマスターに尋ねる。

 

『ああそれはね、近頃、クレイオスの森付近にある研究洞窟で何人もの人が行方不明になっているんだ。2週間前は3人、先週は5人、今週に至っては16人も行方をくらましている』

 

『そんなにですかっ!?』

 

マスターの詳細説明に目を丸くするアーシャ。

 

『ああ、調査に向かった他のギルドのメンバー。危険視した国の騎士団、

全員行方不明になっているらしいからね』

 

『なるほど――。マスター、この依頼、私が受けても良いですか?』

 

『深紅の魔法剣士さんが受けてくれるなら大歓迎だよ』

 

深紅の魔法剣士――その言葉を聞いて、彼女は頬を紅潮させた。口をあわあわさせて、顔の前で誤魔化すように手を振るう。

 

『もぉ~、その通り名止めてくださいよ。恥ずかしいんですから』

 

特徴的な赤髪のショートヘアー、燃えるような赤い瞳、赤い衣服、と、

【アーシャ】の全身は赤で統一されていた。まさに深紅の名に相応しい容姿だ。

そんな彼女は傍から見ればただのかよわい少女に見えるだろう。

しかし華奢な身体からは考えられないほどの身体能力、

炎をメインとした多彩な魔法、能力による実績――。

彼女は一介のギルドメンバーだが、その名では惜しい程の実力を兼ね備えており、

そうした結果からいつの間にか【深紅の魔法剣士】と呼ばれるようになっていた。

 

『あはは、すみません。ですが気をつけてくださいよ?

先ほども言ったとおり国の騎士団ですら行方不明になっているので』

 

『はい。一度状況を確認し、危険度次第では退却、応援を呼んで救出を考えています』

 

『賢明な判断です。ですが今まで帰ってきた報告はないので、細心の注意を払ってください。

うちのギルドはアーシャさんのように魔法に長けた方はいないのですから』

 

マスターはメガネのズレを直しながら念を押す。アーシャを十分に信頼しているが、それでも危険な依頼なのだろう。

アーシャ自身、今回の危険性を今までの経験からしっかりと理解していた。額からは汗がつたい、表情は真剣そのものだ。

 

『はい、それでは行って来ます』

 

こうしてアーシャは、研究洞窟への調査へと向かうのだった。

 

 

――1――

 

クレイオスの森の外れ――森を抜けたさらにその奥深く、特定の用事でもない限り誰も来なさそうな辺鄙な場所に洞窟はあった。内部はジメジメとしており、岩肌には苔が生えている。外見上はただの洞窟とは変わりない。しかしその空洞からは言葉では説明出来ない異質な空気が流れており、触れるだけで寒気を覚えるような嫌悪感があった。

入り口を抜けると今度は人を100人以上容易に収容出来そうなスペース、無機質な白い空間に包まれていた。まるで研究所や病院をイメージさせるような壁面、僅かだが機材も存在している。これで洞窟内部だというのだから余計異質に思えるだろう。

そんな場所で――深紅の魔法剣士【アーシャ・リュコリス】は真っ向から魔物と対峙していた。

 

「ぎゃぎゃぎゃっ!!」

 

「たあっ!!」

 

魔物の鋭い爪を難なくかわしたアーシャはカウンターの要領で切りつける。

ダメージにより体勢を崩した隙も逃さない。

 

「ファイヤーボール!!」

 

「げぎゃあああ!!」

 

剣を持たない左手の甲から放った火球は見事魔物に命中し、炭となって消滅した。

 

「はぁ、はぁ……」

 

「よぅし、次はオレだな」

 

(何でこんなことに――。いや、もうどうしてこうなったのか考えるのは止めよう。

今はそれよりこの状況を何とかしないと――)

 

白い空間の中心部、そこだけ熱気に包まれていた。

何十匹の魔物たちが談笑し、高揚した叫びをあげ、何かを観賞している。

何か――の中心部にいるのが、あの細心の注意を払っていた【アーシャ】だ。

どうやらアーシャは記憶のない内に魔物の群集へ突撃し、数十匹の魔物たちに囲まれていたのだ。

そして今では一対一で戦うことを強制されている。

一匹倒したらまた一匹、まるで闘技場の見世物かのように戦わされている。

状況を見るだけのつもりだったアーシャにとってこの窮地は完全に理解出来ないだろう。

しかし誰もがパニックになりそうなこの状況でもアーシャはしっかりと地に足を着け、再び剣を構え目の前の魔物を見据える。

(魔物たちは一斉に襲ってこない。よく分からないけど一対一で戦うのが目的のようね。

それなら私にとっても好都合。戦いながら逃げ出す方法を見つける!!)

 

「オレはお前みたいな奴をぐちゅぐちゅにしたくてたまんねぇんだよ。

これから×××して■■■したりするのが楽しみだぜ!」

 

「そんなことさせないっ!」

 

魔物の放つ言葉に恐怖せず真っ向から受け止め、再び剣を振るうのだった。

 

 

研究室某所――薄暗い部屋で黒のローブを着た僅かにやせ気味の男は、モニターに映る少女を見て渇いた唇をゆらしていた。

 

「さすがは深紅の魔法剣士――今までの奴らとは全然違う。

魔物に囲まれているという緊張感をものともせず、中央に位置し続け、あわよくば魔物の攻撃でギャラリーまで倒そうとしている。実に見事だ。

いま彼女が倒したのは4匹だが、実際は10匹を超えているだろう」

 

男は動き、立ち振る舞い、声、全てを観察するかのようにモニターを凝視していた。

アゴを揺らすその様子はどこかオスがメスに発情するような――僅かに興奮しているような雰囲気だ。

それもそのはず――彼女自身は無自覚だろうが、

ロングとミニが組み合わさった深紅のスカートは、まるでスリットのようにふとももを露出させており、そこに魅了される男も多いだろう。

上半身も深紅の衣服にクリーム色のマフラー、プレートや鎧にいたっては素早さを意識したのか急所を守る程度の面積で、且つ最低限の部位にしか装着していない。

身体のラインがハッキリ見えるという衣装ではないが、女性と認識出来る綺麗なプロポーションをしている。

整った顔立ちからくる曇りのない表情もポイントが高い。

基本をしっかり身に着けた綺麗な動き、腕を上げたとき僅かに見える腋のライン、鍛えられた無駄のない肢体、

戦闘ではなくじっくり見る機会があれば美しさすら覚えるだろう。

思わず男が舌なめずりしてしまうほどに、【アーシャ・リュコリス】という女性は魅力的だった。

 

「やはり彼女が欲しい。地位的にも――女としても――」

 

『げぎゃあああぁあ!!』

 

『お、おい! また負けたぞ!! これで8匹目か』

 

『どうなってやがる……。この女、ただもんじゃねぇ……』

 

そうこうしている間にも彼女はさらに4匹の魔物を倒していた。

それでいてダメージはほぼ皆無。若干汚れがついた程度。

まるで相手にならない様子を見て、ギャラリーの魔物たちも戸惑いを隠せないでいた。

一方的なリンチだと思っていたのに逆にやられているのだ。

それも傷一つ付けられずに――まともな魔物であれば冷静にもなるだろう。

 

「実力も申し分なしか。私の作った魔物がまるで相手にならないとは――」

 

「だが――」

 

『はぁ、はぁ……』

 

「深紅の魔法剣士も、疲労は隠せないようだ」

 

 

(おかしい……)

 

呼吸を整えながらアーシャはある疑問を覚えていた。

 

「よし、次はオレが――」

 

「待って。あなたたち、どうしてそんな流暢に喋れるの?」

 

「あっ? なんだそれ?」

 

(あまりに自然に話すから気づかなかったけど、魔物がこんな喋れるわけがない。

喋れるとしてもサキュバスや妖精など……。少なくともゴブリンやスライムが

こんなハッキリとした意思を持っているはずがない。これじゃあまりにも――)

 

確かに喋れる魔物は数多くいる、だがここにいる魔物は種族関係なしに誰でも喋れていた。

先ほどのアーシャの質問にもしっかり疑問を浮かべ、会話が成立している。

これではまるで【人間と会話しているような気分】さえ覚える。

 

『それには私が答えよう』

 

「えっ?」

 

空間に館内音声が響き渡る。

 

『そこにいる魔物が何故ここまで喋れるのか? それは私の黒魔術で変化させた元人間だからだ』

 

「なっ! そ、それじゃあ――」

 

その一言で全てを理解したのか、彼女の表情がみるみる内に青ざめていく。

 

『そう、ここに通りすがった人も、救助に来たギルドメンバーも、国の騎士団も全員欲望に忠実な魔物に変貌したのさ』

 

「ひどすぎる……」

 

淡々と説明される言葉に、元人間を倒してしまった後悔、この事件の主犯への怒り、自身もそうなる不安、様々な感情が彼女の胸をかき回していた。

 

「どうしてこんなことを!?」

 

剣を持つ手を震わし、声を荒げるアーシャ。

 

『君が欲しいからだよ』

 

「えっ」

 

『アーシャ・リュコリス。君の活躍は大いに聞いている。大樹の一件、魔力が奪われた時の一件、それと騎士団殺しの件でも裏で活躍したそうじゃないか。武道大会でも君の姿を見て心躍ったよ』

 

『そして君が数々の支部の架け橋になっている事も知っている。魔術教会、黒魔術、国の騎士団、そういった輩への連絡役にもなっている事をね。

だから君が欲しい。地位としても、女性としてもね――。

私は、君が来るのをずっと待っていたんだ』

 

アーシャは男の言葉に寒気すら覚えそうになる。つまり全ては自分を手に入れるために行ったと……もしアーシャがここに来なかったら延々と黒魔術が行われていただろうか?

彼女は強く剣を握り締め、顔を見上げた。

 

「だったら何でこんな遠まわしなやり方を――」

 

『じっくり君の実力を見る駒が欲しかったり――まあ色々事情があったんだよ。

さて話は終わりだ。そろそろ本気で君を手に入れるとしよう。ナンバー24号、次は君が行きたまえ』

 

「へへ、待ってましたよ。アーシャさんと戦えるなんて、感謝しますぜ」

 

男の言葉でギャラリーの中からブヨブヨした――まるで脂肪の塊のような魔物が出てくる。

ゴーレムに粘度を足したようなものだろうか? 人型ではあるものアーシャの二倍は大きい体躯、攻撃方法が想像出来ない特徴、ギャラリーから出てきた魔物はただただ不気味だった。

 

「っ……」

 

頬に汗が垂れる。ただでさえ魔物に囲まれている緊張感があるのに、そこへ一味違う魔物の威圧――さらなるプレッシャーが彼女を襲っていた。

 

(どうあれこの事件の全貌は聞けた。あとはこの状況を切り抜ける――!)

 

「オレで終わりかぁ。まあ、オレがアーシャさんをやれるなんて最高の気分ですわ」

 

粘液性のある手をワキワキさせてアーシャに近づいてくる。魔物の不気味な雰囲気に感覚を鋭くし、距離をとるアーシャ。だが後3歩でも下がればギャラリーの壁に当たってしまう。もう引き下がれない。

 

「――たぁっ!」

 

覚悟を決め、剣を振りかぶった。

 

ブヨン!!

 

「くっ!!」

 

勢いをつけた全力の一撃は容易に当たった。だがボールのように膨らんだ脂肪が、液体によるぬめりが、斬撃を完全に吸収してしまう。

手応えのズレによろめくアーシャ。

 

(この魔物、やっぱり今までとは違う! 斬撃がまったく効かない。それなら――)

 

「ウィンドカッター!!」

 

幾つもの風の刃が魔物を切り刻む――魔法であったが、魔物の粘液をわずかに剥がすだけで攻撃にもならない。

 

「サンダーストーム!!」

 

「うぉ!!」

 

前方の幅広く攻撃する雷の槍は、ギャラリーを驚かす・けん制することは出来たが

肝心の魔物には一撃として貫かれず、脂肪に吸収されてしまう。

 

「げへへ」

 

「っ! フレイム――」

 

「こんな近距離で撃っても良いのかい?」

 

「!?」

 

ドコン!!

 

無機質な空間に初めて打撃音が響き渡る。その攻撃は――

 

「かはっ!」

 

魔物の拳が完全に虚をつかれたアーシャの腹部にめり込む音だった。

初めて食らった一撃に目を開き数歩よろける。一瞬息が止まった苦しみに口をパクパクさせ、腹部の痛みを手で押さえようとするアーシャ。

同時に耳をつんざくほどの歓声があがった。

 

「はっ……ぁぁ……」

 

「ケケケケケ!! やっと一撃入ったぜ!」

「そのクソ生意気なオンナやっちまえ!!」

「ストリップ! ストリップ!!」

 

ゲスなギャラリー、欲望をぎらつかせた視線に歯を食いしばる。

 

「それじゃギャラリーの期待に応えますか。ここからはアーシャさんが一方的に殴られる、陵辱祭りだ」

 

ズキンズキンと警鐘を鳴らす腹部に負けず、彼女は再び構えを取った。

そして一呼吸置くと――

 

「ファイヤーボール!」

 

相手の顔面に火球を放つ。

 

「そんなしょぼい鉄砲玉、効かねぇって」

 

当然アーシャにもこの魔法が通じない事は分かっていた。本当の目的は火球を目くらましに使い、魔物の後ろへと回り込むこと。

魔物から見れば小動物にも見える彼女の体躯なら、一瞬あれば後ろに回りこむことなど朝飯前だ。

 

(この魔物は私と相性が悪い。それでも――)

 

「フレイムバースト!!」

 

先ほど放とうとした十八番のフレイムバーストが炸裂した。粘性の魔物を中心に豪快な爆発を巻き起こす。

 

「ぐっ」

 

「てやぁ!!!」

 

爆発で動きを止めた魔物に息をつかせぬ連撃。アーシャが剣を振り下ろすと同時に剣先が爆発し、勢い良く魔物を吹っ飛ばした。

アーシャより頭三つ分は大きい重量系の魔物を1メートル以上吹っ飛ばした事が、その威力を物語っている。

だがアーシャの猛攻はこれで終わりではない。彼女はもう次の動作に入っている――!

 

「フレイムバースト!!」

 

「えっ――ぎええええ!!!」

 

巨体が飛んできたことによりギャラリーの壁にヒビが出来た。

そこへすかさず先ほどの爆発魔法を放ち、ギャラリーの壁をぶち壊したのだ。

 

(出来た。相手が油断しているここが最大のチャンス――)

 

アーシャの機転は見事成功。フレイムバーストの爆発でギャラリーのヒビは穴へと変化した。爆風でダメージを受けた魔物も動けない。

闘技場のように囲まれていた魔物の壁から抜け出す一筋の光明――アーシャはすかさずその穴へと駆け込んでいく。

 

「あっ! あの野郎――! に、逃がすな!!」

「捕まえ――」

 

「むぐっ!!」

 

後ろにいたギャラリーが慌てて捕まえようとしたが、その動きはアーシャが止まると同時に止まった。

 

「んっ!! んんーーー!!」(しまった――)

 

対峙していた魔物が逃げ出そうとしたアーシャの口をコップでも持つかのように押さえ、捕まえていたからだ。

そのまま彼女の身体を持ち上げ中央へと戻っていく。

足をバタつかせ必死の抵抗を見せるが、この魔物にとっては無意味に等しい。

 

「中々面白いことをしてくれるじゃねぇか」

 

結局元の位置へ戻ってしまったアーシャ。負傷したギャラリーたちも戻り、最後のチャンスだったかもしれない脱出の好機は壁で塞がれてしまった。

それだけではない。今度はアーシャが捕まっている――ほんの数秒で好機が窮地へとひっくり返っていた。

 

「ふぐっ!!」

 

まず一発――空いている左手で小さく弧を描き、無防備の腹部へと叩き込む。

 

「まずはやっぱり大人しくさせてからだよな」

 

「むぐっ!! んぐっ!!!」

 

動きの取れないアーシャに二発、三発、と何発も腹部へ攻撃する魔物。

拘束してる右手の甲――アーシャのアゴからはポタポタと唾液が漏れ出す。険しい表情が崩れることもない。

 

「うぐっ!! んっ!! んぅう……!」

 

超至近距離によりパンチの威力を最大限出し切れていないのが僅かな救いか――?

それでも重量級の拳は十分過ぎる程にアーシャを悶絶させる威力は持っていた。

 

「へへへ、やわらけぇお腹だな。えぇ!」

 

ドッ!!

 

「ふっぐっ!!」

 

ビクッ、ビクンと太ももを内へ寄せる。足が宙に浮いている状態では力を逃がすことも出来ずサンドバッグのようにただ殴られる。

 

「ふんっ、そらよ」

 

何十発か殴ったあと、魔物は満足したのかアーシャを放り投げて解放した。

彼女は受け身も取ることが出来ずそのまま地面に転げ落ちる。

 

「げほっ! げほっ! うぇ、うぇぇ……!!」

 

口が開くと同時に逆流してきた唾液吐き出し、ひたすら新鮮な空気を取り入れようとする。

 

「かっ、はっ……かはっ! げほっ。はぁーー、はぁーー」

 

「おらっ、いつまで寝てんだよ」

 

「えっ?」

 

やっとの思いで膝を着き、震える身体を支えていた彼女にさらなる追撃――

ギャラリーが地面に垂れていた彼女のマフラーを掴み、引っ張り上げたのだ。

犬のリードのように無理やり立ち上がらせる。

 

「いっ!」

 

腹パンの痛みに慣れる間もなく行動を強制された彼女はそのまま――

 

「あが、ああぁぁぁああああ!!!」

 

マフラーで首を絞められた。か細いアーシャの首がギチギチとさらに細くなっていく。

両手でマフラーを掴み引き剥がそうとするがそこでも間髪入れず追い討ちが入る。

 

「おぉ、なんだこりゃ? 良いサンドバッグじゃねぇか」

 

「!?」

 

ズンッ!!

 

「げぁ……! はぁぁ……」

 

閉められた喉から締め上げられた声が漏れ出す。首を絞められながらの腹パンチ、みるみる内にアーシャの肌までも赤く染まっていた。

 

(ま、まずいよ! このままじゃ――)

 

動けないアーシャへ再度パンチを叩き込む。口からはみっともなくよだれを垂らし、全身も痙攣したかのようにピクピクしている。

 

「ぁぁぁ……ぁ~!!」

 

「ぁ、ぁぁ……!!」

 

その時、彼女の全身から火柱が上がった。

 

「うぉっ!」

 

思わぬ反撃に手を離すギャラリー。

 

「げほっ! げほっ!! はっ! はぁ……!! はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 

そう、彼女は自分自身を燃やしマフラーを燃やしたのだ。

咄嗟の機転で窮地を脱出したアーシャだが、この一撃は諸刃の剣。

深紅の衣服もところどころ燃えてしまう。ロングスカートだった部分は焼け落ち隠れてたふとももを大胆に露出するただの膝丈スカートになってしまったり、肌に焼け目がつくなど、様々な部位が彼女の魔法の威力を示していた。

それでも炎に耐性があったことが幸いし、深いダメージにはならなかった。

 

「ふふ……。良い感じに追い詰められてきたなぁ」

 

「げほっ、げほっ……はぁーーはぁーー」

 

時間にして僅か10分程度、窮地を脱出しようと輝かせていた目に曇りが見え始めた。

 

――2――

 

そこからは状況が一転、目も当てられないような一方的展開――

魔物たちが求めていたリンチになりつつあった。

傷ついた身体に鞭を打ち懸命に戦うアーシャだが、この魔物【24号】とは相性が悪すぎる。

【24号】を魔物に区別するならば【クレイゴーレム】に近い魔物だ。

しかしただのクレイゴーレムではない。泥ではなくもっとスライムよりの――特殊な粘性を持ったゴーレムである。

 

「くっ!!」

 

「はっはー!! おせぇな!」

 

「んぅう!!」

 

また一発、24号の一撃が彼女の身体に直撃した。

メタルブーツが粘液にもたつき回避が遅れたのだ。

魔物の動きと比べるだけならばアーシャの方が圧倒的に速いだろう。まして24号のような鈍重なパンチなどまず当たらない。

しかし24号が攻撃して粘液を撒き散らすたび粘性の飛沫が障害物となってアーシャの動きを、回避の判断を鈍らせる。

反撃しようにもヌメリが邪魔をしてまともなダメージを当てられない。得意の炎も厚い水分を持った脂肪にかき消されてしまう。

その攻防一体の身体は彼女にとって最悪に近い相性であった。

これ以上ない不利な状況でも速さでかく乱しつつ奮戦しようとするが、そこでも問題が発生していた。

 

「おらおら! 逃げてばかりじゃ面白くねーぞ!」

 

しゅるる!

 

「えっ?」

 

ギチギチッ!!

 

「あっ、あぁぁぁあ!!!」

 

不意に地面から植物のツタが伸び、アーシャの全身を締め上げた。身体の緊縛感、骨が軋むような痛みに目尻に涙を浮かべる。

そう、先ほどの一件により今まで黙っていたギャラリーの魔物が少しずつちょっかいを出すようになっていたのだ。

数歩退けばギャラリーに背中を押され殴られる。

時には羽交い絞めをされて殴られ、服を破かれ――。剥かれた深紅の衣服からは僅かに黒いスポーツブラが零れてしまう。

そうしたチャンスを狙いセクハラ行為をする者も多く、ふとももを触ろうとして爪でスカートを切り裂いたり、胸を触ろうとして隠れていたブラがより露わにされてしまう事もあった。

また彼女は着やせするタイプなのだろう。着衣の時より胸が大きく見えることが災いし、よりギャラリーたちを獣へと仕立て上げていた。

しかしアーシャがまだ立っていられるのは、魔物たちが嬲ることを愉しんでいるという油断からでもある。そういった意味では助けられていた。

そうしていたぶられるたびギャラリーからは歓声があがり、今もなお浮き出た身体のライン、苦痛の表情を浮かべるアーシャに高揚し心底喜んでいる。

まるで自分が負けることだけ望まれている、周り全てが敵という状況が余計に戦いづらくさせていた。

アーシャがツタから解放され、ふっと脱力した瞬間には24号が目の前に立っていた。

 

「あっ――」

 

そしてそのままアーシャの腰に両手を回し――思い切り抱きしめた。

 

「あぁぁぁぁああああ!!!」

 

抱きしめる、なんて生易しいものでは止まらない。

アーシャの身体は腰が折れるんじゃないかと思える程くの字に曲がり、圧迫感で肺が押しつぶされそうになる。

 

「へへへへっ」

 

「あっ! あっ……ああぁぁぁあ!!」

 

しかもこれはただのベアハッグではない――解放することなくそのまま締め続けている。苦しませるようにギチギチと、呼吸が出来なくなるくらい力強く締め続ける。

 

「へへへ、いつかアーシャさんをこんな風にぎゅ~と抱きしめてやりたかったんですよ!」

 

「ああぁぁぁあ!! はっ、あぁぁ……!!」

 

「アーシャとこうして、密着して……ねぇ」

 

ぎゅうう!!

 

「ああぁぁあぁ!!」

 

さらに力を込め、どんどん彼女を縮ませていく。

もちろん苦痛の中でも炎を操り抵抗を試みるが、この魔物には通用しない。また特性の粘液がより厄介なものになっている。

ギャラリーからは見えないが、身体と身体がベットリ張り付いているのだ。

鋼鉄の肉体ではないため筋肉よりも威力はないが、自力での脱出は実質不可能な状況だった。むしろそのまま体内に呑み込まれてしまいそうな雰囲気さえ出している。

 

(まずい、これじゃ……抜け出せないよ――!)

 

「っとと、このまま締め殺すわけにはいかねぇな」

 

興奮状態から我に返った24号は粘液を操作してアーシャを解放した。

彼女は地に立つ力もなく、そのままグッタリ崩れ落ちる。

 

「へへへ、どうっすかアーシャさん? オレ、強いでしょ?」

 

「うっ――」

 

24号は崩れ落ちたアーシャの顔をクイッと掴み、自分の眼前へと引き寄せた。

 

「はぁ、はぁ……その、しゃべり方――あなたは……一体――」

 

「多分もう気づいてるでしょ? 24号、この事件で失踪した24人目。こないだここの調査にきた国の騎士団ですよ」

 

そう、アーシャが戦いづらいのにはもう一つ理由があった。

ここにいる魔物たちが【元人間】ということ――。先ほどの館内放送で知ってしまった。

それもグールやゾンビではなくちゃんとした意思・記憶が残っている。

もちろんそれで手を抜くほどアーシャは弱い人間ではない。

割り切れる人間であるが――僅かに迷いは生じていた。

 

「いやぁ、アーシャさん、最後まで抵抗するからビックリでしたよ。オレなんてこの状況になった途端、命だけは助けてくれって泣いて懇願したんですよ?」

 

「はぁ……はぁ……」

 

「そんな弱っちぃオレが、今ではあの深紅の魔法剣士を見下して、誰も見たことのない弱々しい表情が見れている。ここの主様には感謝したいくらいですよ」

 

「お願い――あなたが国の騎士団なら、この状況を突破するのに協力して」

 

彼女の言葉に24号は初めて疑問の表情を浮かべる。

ただ一つだけ――アーシャはまだ諦めていない。

しかし、この状況を突破出来るほどの体力も残ってない。

状況を冷静に見極めていることだけは理解出来た。

 

「まだ諦めてないんすか? もうさっさと身体を渡した方が楽ですよ?」

 

「あなたも国の騎士団であるなら今回の黒幕がどれだけ残虐非道か分かるでしょ?

ここで放っておいたらもっと甚大な被害が出る」

 

「自分がこんな状況なのにまだ誰かの心配をしている。本当に立派ですね」

 

「おらぁ! 何ボソボソやってるんだ! 早く戦えーー!」

「チンタラやってるとオレたちが相手になるぞ!!」

「犯したくてうずうずしてんだ、早くしろ!!」

動きが止まった2人に痺れを切らしたギャラリーの野次が飛ぶ。

24号はアーシャの真剣な眼差しを見て、一呼吸置いたあと――アーシャを解放した。

 

「さっきの答えですが――」

 

そして――

 

「もちろんやなこった。オレ、そんな立派なアーシャさんがボロクソになるのを見たいんですよ。強い奴が弱い奴に完膚なきまでボコボコにされて、その綺麗な瞳がドロドロに汚れる姿をね」

 

アーシャの懇願を一蹴した。彼女は僅かに拳を震わせ――

 

「っ――。それなら仕方ないね」

 

再び戦闘態勢に入るのだった。

 

『んー、何だね? 自分一人ではどうにも出来なかったから、魔物に協力でも求めていたのかね? 意外にやり手なオンナじゃないか?』

 

館内放送からも野次のような、ゲスに満ちた低い声が流れる。

 

『しかしねー、魔物になったら本能に忠実なだけだよ。君の声なんて届きやしない』

 

「………………」

 

『どうだ? そろそろ諦めて私の元へ来ないか? 君も十分痛い思いをした。

もう楽になりたいだろう?』

 

ギャラリーも黒幕には逆らえないのか、男の声がしっかり聞こえるように静かになる。

しばしの会話――静かな声が無機質な空間に包まれた。

 

「勘違いしないで。私は……出来ることなら意思のある人を倒さずに済ませたかっただけ」

 

僅かな沈黙の後、アーシャは静かに答える。

 

「この状況を突破する手段なら――ある」

 

その一言を聞いた全ての者たちがギョッと目を見開く。

 

『それが出来るなら面白いが――さすがにハッタリじゃないか?

剣は奪われ、アーマーは脱がされ、魔力ももうほとんど残ってない今の君に何が出来る?』

 

アーシャが初めに掴まれたあの時、抵抗した拍子に剣を落としてしまいギャラリーの中へと沈んでいた。それから一方的なリンチを受け続けていく内に最低限のプレートすら剥がされてしまっていた。

それでいて体力も魔力も残り少ない――並の人間ならその時点で泣きながら助けを請うだろう。

しかし彼女は逆転出来ると――大真面目に宣言したのだ。

ハッタリ――誰もがそう思う。元人間であるならこんな状況を打破する術はないと思うはず――。

しかし先ほどの爆発で傷ついた魔物は冷や汗を垂らし、アーシャの鋭い目を見た別の魔物は頭さえ抱えていた。

ギャラリーのどよめきが――再び彼らに8体倒された時のような緊張感を与えていく。

 

(この状況でやるには一か八かの賭けだけど――やるならもうここしかない)

 

現在の状態を考えた上で、アーシャは何かをやろうとしていた。

眼前にいる元騎士団の男は異様な雰囲気に初めて防御の体勢をとる。

 

「浄化の炎よ――」

 

アーシャが右手を伸ばすと、そこへ高出力の魔力が集まっていく。

今までにない凝縮された魔力が光の放射線を描き、掌へと収束する。

 

「これは――まずっ!」

 

「全てを飲み込み、灰燼へと誘え――」

 

24号は慌てて止めようと考えたが、間に合わないと判断し全身防御の構えをとる。

他の魔物たちは当然ハッタリと踏んで油断していたため、あるいは恐怖し怯えていたため行動に移ることすら出来なかった。

そして――

 

「メキドフレアッ!!!」

 

全てを飲み込む、高密度の火炎旋風がアーシャの右手から放たれた。

あまりの高火力により周囲は噴煙に包まれる。

 

『なっ、何が――』

 

最大限凝縮されて放たれた高熱の炎は前方にいた魔物はもちろん、後方にいた魔物も魔力の熱風により焼失させていた。

アーシャの苦手な水系の魔物ですら、気体となって蒸発してしまう。

それ程の威力――深紅の魔法剣士の切り札が炸裂した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 

巻き起こる噴煙の中――魔物の声一つ聞こえない。

噴煙が晴れ――姿が見えて、ようやくその意味を理解した。

 

――全滅したのだ。

 

闘技場のように囲んでいた魔物たちは詠唱の通り全て飲み込まれた。僅かに魔物だったモノなどは散乱しているが、動いている魔物はアーシャの視界に映っていない。

あの相性最悪だった24号ですら、蒸発するほどの高熱を浴びてしまえばひとたまりもないだろう。

ギャラリーの誰か一匹でも詠唱を封じれば勝てていただろう。

しかし油断と欲望にまみれ嬲り続けていた事が――彼女を逆転させる結果となってしまった。

 

(出来れば使いたくなかったんだけどね――)

 

逆転の余韻にひたることもなく、全滅した光景を冷たく見つめていた。

 

『素晴らしい――』

 

館内音声から聞こえた一言目がそれだった。笑み一つこぼさないアーシャとは裏腹に、術者の男は口元をゆがめ、歓喜に震えながらモニターを眺めている。

 

『まさかこれほど――これほどまでとは――』

 

(いけない。長居は無用ね。魔物を倒しても、黒幕に捕まったら全てが水の泡になる。

今の私にはもうファイヤーボール一発撃てるかも怪しい。

何とか逃げ出して今回の一件を報告しないと――)

 

ふらついた足取りで出口へと向かう。

何故あの術者が館内音声で余裕の言葉を浮かべているのか?

今のアーシャには考えるほどの余力がない。

 

ただ出口へ――出口へと――重い足取りで進んでいく。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 

(あと、もう少し――)

 

ガシッ!!

 

「――――……え?」

 

その時、【何か】が彼女の動きを止めた。左手に重い感触を覚える。

味方? こんな洞窟にいるわけがない。

黒幕の術者がもうここへ来たのか? 転移魔法を使えるなら可能だろう。

もしくは――考えられるのはそれしかないだろう。

 

唇が渇く――バクバクと鳴る鼓動を必死に静める。

頬を伝う冷たい汗を感じながら――背後に潜む絶望へと視線を向けた。

 

「あ、アーシャさん、やっぱり……ぜぇ、ぜぇ、すごいね。あそこから逆転するなんてさ」

 

「なっ――!?」

 

そこには――24号だった者が立っていた。

全ての体液を前面に展開し防御に徹したのか、体躯が人間程度の大きさまで戻っている。

アーシャを握る手も粘液性が全くない。むしろ渇いているくらいだ。

しかしそれが何を意味しているのか――アーシャが一番理解していた。

受けきったのだ――。全てを防御に回して、全特性を活かして、何とか首の皮一枚繋げた。

熟練の剣士のアーシャでも、アーシャだからこそ――ある二文字が頭によぎってしまった。

 

「ねぇアーシャさん、ローパーって魔物、知ってる?」

 

(まずい、まずいよ――)

 

目をぱちくりさせて言葉を失うアーシャに構わず、男は語りかける。

 

「何本もの触手を使って、電流を発生させ――獲物を動けなくなったところで生体エネルギーを吸収する魔物。体力を全てを吸い尽くしたら、今度は捕食して栄養にするんだ」

 

「つまりね――」

 

瞬間、24号はアーシャを引き寄せ――

 

「んむぅ!!!」

 

唇を重ね合わせた。

 

「んっ、んぅ……んんんんんっ!!」

 

口付けは飛んでいたアーシャを現実に戻し、抵抗の意思を復活させた。

腰に手を伸ばし拘束する24号から必死に逃れようとする。

しかし純粋な力の勝負であれば魔物の方が断然強い。

歯を食いしばっても舌でこじ開けられ、自身の舌を絡めとられていく。

 

「あっ……んんん!! んぐっ、はぁ……んんーーー!!」

 

「はぁ、はぁ――アーシャさんの唇すごく柔らかい」

 

今度は左手で後頭部を押さえられ、顔を逃がすことも封じる。

24号のドロドロした唇が、アーシャの瑞々しく生気に満ち溢れた唇を奪っていく。

そう、彼女の口からは徐々に淡く綺麗な光が漏れ出し――24号の中へと入っているのだ。

光が移るたびに彼女の身体はゆれ、弱っていくのが分かる。

 

(あぁ――力が抜けてく。吸収、されてる――まずいよ。何とか、何とかしないと――)

 

ドン! ドン!

 

「んぅぅ、んっ……ちゅぱ……いやぁぁぁ……やめ……んぐっ!」

 

ドン! ……ドン!!

 

「じゅるる――ぷはっ、くさくて……ドロドロして、きもちわ……んぅうう!!」

 

ドン! ドッ――

 

「ひどいなぁアーシャさん。そんなアーシャさんにはもっと吸い取ってあげるね」

 

「んぅううう!! んむ! んぐぅ……! ぷはぁ……げほっげほっ、やめ……んぅうう!!! も、ちから……入らな――んーーーー!!」

 

歯茎をねぶり、唾液を飲み込ませ、唾液をすする。

ただの吸収であれば吸い取るだけで良いのに、まるで人間同士がキスするような感覚で吸い取っていた。

それもただのキスではなくディープキス、時には喉の奥まで吸い取るディープ・スロートを行い、ただただしつこい接吻を続ける。

 

「はぁ、はぁ、あむぅ……んぅ……んんっ……」

 

トン……トン……

 

次第に殴る抵抗はタップへと変わり――今では懇願へと変わる。

アーシャの表情は紅潮し蕩けつつも、どこか力の抜けた明後日の方向を向き始めていた。

 

(ダメ――、もう動けない――)

 

そして完全に力を吸い取られたアーシャは左手を曲げることすら出来ず――

そのまま腰砕け状態に陥った。

 

「あっ――あっ――」

 

ビクンビクンと陸に上がった魚のように痙攣し、目は完全に蕩けきっている。

そんなグロッキーな彼女とは裏腹に24号の表情は活き活きとして、身体からは光沢が戻り始めていた。

 

「ふふふ……」

 

「あっ――んぁぁ。やめ……」

 

(抵抗――は、れ……わた……ひ……だめ……)

 

頭の中はノイズで包まれ記憶すら混乱を起こし始める。

自分がどんな状況にあるのか、先ほどまで何をされていたのかも理解出来ない。

そして――

 

「い……や……ぁ」

 

混濁した思考は、そのまま闇の中へと沈んでいった。

 

「オレが、騎士団の中でも落ちこぼれのオレが、アーシャさんを……」

 

『ご苦労だった24号。あとは私の方で何とかするから下がって良いぞ』

 

「……はい。ありがとうございます」

 

(気絶しなければ泣き喚くくらい犯してやりたかったが――、まあ最大の目的であるアーシャさんを倒せたんだ。命も助けてもらって、これ以上の要望は言えないよな)

 

こうして――3~40分にわたる戦いは幕を閉じた。

 

――3――

 

「んっ、んぅ……」

 

深紅が特徴の少女【アーシャ・リュコリス】はまどろみから目を覚ます。赤い髪をゆらし重いまぶたを何回か重ね合わせ、視界をハッキリさせていく。

そこは先ほどまで戦っていた無機質な空間と似ている部屋だった。

 

「あれ? わたし……」

 

「おはよう、気分はどうかね」

 

まだ目の覚めてないぼんやりした瞳で声のした方向を見る。

骨格のラインが浮きつつあるやせ気味の輪郭、色の抜けた活力のない髪質、乾いた肌、

年齢は大体5~60代くらいだろうか?

僅かに枯れた生気のない声と黒いローブがより一層男の不気味さを際立たせる。

 

「あなたは……?」

 

そこで彼女はハッと目を開いた。

先ほどまでの出来事がテープの早送りのように脳内で再生されていく。

同時に受けた傷も目を覚ましたかのように警鐘を鳴らした。

 

「いたっ!」

 

「無理は良くないな。私が治療したとはいえあれだけの攻撃を受けたんだ。君はもう抵抗せず大人しくした方が良い」

 

「ふざけないでっ! っ!」

 

とうとう意識もハッキリし、黒幕に噛み付こうとするが上手く動けない。

違和感を感じ、自分の身体に視線を向ける。

そこでようやく自身が両手を後ろに縛られていることに気づいた。

 

「なっ――」

 

また自分の姿に驚き、まるで空想の女の子のように頬を染めていく。

妙に身体の軽さを感じていたが、黒のスポーツブラとショーツ、ソックスとアームカバー以外なにも着用していないのだ。

元々露出度の高い衣服を嫌う彼女にとって、今の姿はとても見られたものではない。

さらには敵の前でそんな羞恥的な姿を晒しているのだ。

みるみる内に顔がこわばり、額から汗が流れていく。

 

「ははは――どうやら肌を見られるのは慣れてないようだね」

 

「~~~!」

 

恥ずかしさを堪えながらキリッとした表情で男を睨みつける。

20170601-02

 







「わ、私をどうするつもり――?」

 

脳裏によぎったことを否定しながら問いかける。言葉を発した唇は僅かに震えていた。

 

「それはこれから分かるよ」

 

「………………」

 

やはり先ほどの戦闘で魔力を全て使い切ってしまったのか? どんなに集中しても魔力の流れを一ミリとして感じることができない。

今の彼女は完全に籠の中の小鳥だった。

 

(どうやら逃げられそうにないみたいね)

 

「その通り。君はもうここから逃げられない」

 

「くっ――」

 

捕まった現状に対してもそうだが、この部屋の雰囲気にも厳しい表情を浮かべていた。

まず汚い。先ほどの戦闘空間は無機質だが真っ白であり、清潔感さえ覚えるような場所だった。

しかしこの場所のコンクリートは泥で汚れ、僅かにカビすら生えている。

そして今彼女が座っているこの布団。何年干してないのか分からないほどジメジメしている。カビの悪臭に男の加齢臭が交わり、より一層アーシャの鼻腔から脳へ拒絶反応が送られていた。

極めつけはそんな場所に4・5畳あるかどうか分からない、密室に近い状態だということだ。こんな場所に人が住んでいられるのかという疑問すら浮かべてしまう。これならまだ国の牢屋にいる方が快適だろう。

加えて身体は拘束され、脱出手段という希望の欠片も見つからない。

おまけに黒幕である男の流れるような熱視線。アーシャはガサツな一面もあるが、年頃の女の子だ。そんな彼女にとって今の状況は耐え難いものだった。

 

「さてと――」

 

「ねぇ、一つ聞いても良い?」

 

「あの状況になったのって、あなたの仕業なの?」

 

気づいたら魔物に囲まれた状態、アーシャにはどうしても腑に落ちなかった。

いくら罠だったとしても、囲まれて戦闘になるまで記憶がないなんてあり得ない。

それが出来るとしたら――

 

「ああ、薄々気づいてるんじゃないか?」

 

「催眠術――」

 

「半分正解かな?」

 

そう、自分が【操られている】こと――。

アーシャ自身この答えにたどり着いていたが、そうなると不可解な部分が多々存在する。

 

「入り口に催眠術の罠を仕掛けるのも考えたけど、それだと王国直属の魔術師や君レベルの魔法剣士なら容易く気づいてしまうだろ?」

 

「よし、さっきの戦いで私の想像以上の活躍をしたご褒美だ。

せっかくだし種明かししようか」

 

「正解はパシフラ系――鎮静剤の材料になる薬草を独自に改良し、粉末状にして擬似催眠を起こしたんだ」

 

「どういうこと?」

 

「私が開発した薬草は脳神経系を鈍らせる――つまり脳を弛緩させ判断力を低下させる毒草みたいなものだ。それを霧状にして入り口前に散布していたのだよ。

空気として吸い込んだ者たちは神経麻痺の違和感を感じ、【これはガスっ!?】とか【ここにいるのはまずい!】みたいな症状を引き起こす。

するとどうすると思う――?」

 

「近場にある建物・空気の良いところへ避難する……」

 

そう呟き、アーシャは気づいた。周囲で避難できる場所があるとしたらここ――この洞窟しかない。

 

「人間、敵地の中は警戒するけど案外入り口前の警戒は手薄でね――。それを吸い込んだ者は【一度洞窟へ避難する!】とか言ってわざわざ来てくれるんだ。それが罠だという判断力を失い、【ガスがこないところへ……】とどんどん奥深くまで進んでいく」

 

アーシャの胸にグサリと突き刺さる。

実際彼女は正面から向かっていき、これ以上ない程思うがままになっていた。

 

「そして新鮮な空気を吸えば症状は元に戻るから――意識がハッキリする頃には敵地のど真ん中というわけさ」

 

「つまり、私はあなたの掌の上で踊らされていたみたいね」

 

「そういうこと」

 

彼女の額から冷や汗が流れる。この単純だが無限回廊とも思えるシステムに心底震えを覚えていた。

もしあそこで24号を倒せていたとしても、このカラクリを知っていない限り抜け出す事は出来ないだろう。きっと【敵に先手を打たれた!? 洞窟に入って一度やり過ごす】と言って、無意識の内に戻って来ていた。

通りで帰って来た者がいないはずだ――。近づいた者は全て感覚が麻痺して、洞窟へ避難してしまうのだから。

 

「でもそれならどうして――。洞窟へ逃げた私をその場で捕まえる事も出来たはずよ」

 

「それは伝えただろう。君の実力がどれほどのものか見てみたかった。もちろん催眠とか抜きにした純粋な実力をね」

 

その言葉でハッとなる――。この男の目的を思い出してしまう。

次第に動悸が激しくなり、自身の置かれた状況が脳裏に浮かんでいた。

 

【君が欲しい――】

 

寒気を覚え、緊張が伝わる。最初は自身が魔物にされると思っていた。

でもそうじゃない。このカサついた男は確かにこう言ったのだ。

 

「ようやく、記憶がハッキリしてきたようだね」

 

幅広い連絡役にもなる、【アーシャ・リュコリス】が欲しいと。

 

「い、いや――こないで」

 

男が静かにローブを脱ぎ、ボロボロのボクサーブリーフ一枚で近づいてくる。

ここまでくれば、これから自身が何をされるのか――嫌でも理解出来た。

首を振りながら後ずさるアーシャへと近づいていく。

そして――

 

「いやぁぁあああああ!!」

 

…………………

…………

……

 

気づけば後ろに座りペッティングを始めていた魔術師。

カサつく掌で瑞々しい若さを吸い取るかのように、モニター越しからずっと求めていた彼女の肢体を撫で回す。

無駄な肉もなく細すぎない腰つき、カモシカの細い足に丁度良く肉が付いたふともも、そしてモニター越しから何度も目を惹かれた2つの双丘、男は観察するように――また宝物の人形を愛でるかのように触っていた。

 

「いやぁぁ……! 気持ち悪い――」

 

アーシャの不快指数は限界値をはるかに超えていた。

ザラザラした肌がなぞるように身体へ張り付いてくる、背後から首元に感じる男の呼吸、その吐息が肩に当たり僅かな熱を感じてしまうのも不愉快だ。

身をよじって抵抗しようがそんなもの通用しない。影の手が全身に纏わり付くように、ねっとりと動く男の魔手は離してくれなかった。

 

「はぁ、はぁ……これが、アーシャ・リュコリスの身体か」

 

「いや、んぅ……! いやあぁあぁ……!」

 

全ての言動が彼女の肌に染み付いてくる。

これは先ほどの戦闘による痛みとはまるで違う――中から細い針でプツプツと刺されているような痛みを感じていた。

こうした耐性がまるでない彼女にとっては、魔物と戦っている方がマシだったかもしれない。

 

そうこうしてる内に男の手はスポーツブラ越しから、乳房を揉み、しごき、乳首の位置を指で探り、ショーツ越しからはぷっくらとした肉の割れ目をスリスリと弄んでいた。

 

「やめ、やめて……! こんなぁ…、気持ち悪い」

 

瞬間、うなじにザラついた……しかしどこかヌメリとしたナメクジが這い寄るような不快感を覚えた。

 

「ひぃ!!」

 

男の舌だ。華奢な右肩を右手で押さえ、左手で乳房を優しく揉みながら彼女のうなじを舐めていた。

カサついた唇、呼吸、どろりとした感触が――首筋から脳内へと走ってくる。

 

「ふふふ――、実に良い。オンナの味だ」

 

これほど不快な行為を出せる者はそうそういないだろう。アーシャも万全の状態であればぶっ飛ばしているはずだ。男の行動全てが身体に刻まれるように印象的で、群を抜いた拒絶がアーシャの心を包み込む。

しかし心の奥底で――拒絶の中で、どこか高揚しているような……アーシャ自身まるで感じたことのない新しい何かが出来上がりつつあった。

 

「いやぁ……いやぁぁ……! 胸、触らないでぇ……!」

 

「本当に着やせするタイプのようだな。モニターからはこんなに大きいとは思わなかったよ。ますます私好みだ」

 

「んぅう……! あなたになんか好かれたくない……」

 

「ふふふ、そう言っていられるのも今の内だ」

 

しかしこれはまだ序の口――男の魔の手が伸び始めてから15分も経っていない。

男はアーシャの肩を抱き寄せ、そのまま対面状態へと持っていく。

お互いの呼吸があたるくらいの距離――そして――

 

「っっっっ!!!」

 

アーシャの柔らかく健康的なピンク色をした唇に、カサつく男の唇がのしかかった。

声にならない悲鳴をあげ逃げようとするアーシャだが力が入らない。先ほどのナメクジのようなベロが今度は口の中へ入っているのだ。輝く白い歯をねぶり、唾液を纏いながら這いずり回っている。

 

「んっ……んぅぅ……んんーー」

 

(臭くて――ドロドロして――喉の奥にまでこびりついてくる。入ってくるもの全て吐き出したい。やだ、いや……。まだ入ってきてる。私の舌をすすって……ぐちゅぐちゅ)

 

「ちゅぱ……ぁ……ぁぁ……いやぁ……。お願い、やめ……んぅう!!

んっ……んぅ……むぐぅ……ちゅる、やだ、舌、吸わない……んぅ……」

 

アーシャが男の丹念なキスに意識が集中してる間、男の手はスポーツブラの中へ侵入し直接乳丘へと触れていた。キスで蕩ける頭には触られた刺激だけ伝達されていく。

 

「くさい……。こんなの近づけ――んぅ……しつこ……んむ。なんで、こんな……ン、あぁ…ぁむ……ちゅる。お願い……だか……らぁ……」

 

(頭が、クラクラしてきた――なに、これ)

 

男のディープキスにより意識が混濁していく。

 

(こんな感じ……さっきも――この男にキスされたような――何だったっけ? それで全身の力が抜けて、気持ち良くて……わたひ、気持ち良くて気絶して……)

 

(! ちがっ! 気持ちよくなんてない――。あれはたしか……なんでわた……ひょんなこと……)

 

きゅっ!

 

「あっ! ん……」

 

唐突に乳首をつねられた。完全に虚をつかれた彼女から甘い声が漏れ出す。

 

「嫌がってるわりには随分甘い声を出すんだな?」

 

「ちが、今のは――」

 

今の声を本当に自分が出したのかと分からない程、彼女自身が一番信じられない表情をしていた。

クリスのちょっかいで胸を揉まれることはあっても、あんな声を出したことはない。

 

「はぁ、はぁ……」

 

(まずい、身体、熱くなってきてる……。こんな、不愉快なだけ……なのに)

 

人差し指で乳首をコリコリねぶられると、蕩けた表情を隠すように俯く。先ほどの甘い声を必死で噛み殺しているようだが、【んっ、ぁ……ん】と吐息のように小さく漏れ出し、それがまた男の興奮を誘っていた。

 

(こんなに気持ち悪いことをされているのに……どうして熱くなって……)

 

透き通った白い肌は徐々に紅く火照り、顔色もまるで深紅の髪のように紅潮している。

疑問を脳内で相談する間も与えられず、男の前戯はアーシャの三角地帯へと進行していく。

 

「いっ、いやっ……!」

 

右手で腰を掴まれ容易くショーツの中に手を伸ばされてしまう。

 

「あっん!!」

 

「おや――」

 

「っっっっ!!!」

 

密室内で反響するほどの大きい嬌声、彼女のショーツは僅かに湿り気を残し熱気を漂わせていた。自分の状態を認識出来ないほど混乱している彼女は、今の甘い声でさらに顔を赤くする。

 

「触られるだけであんな声を出すなんて、それじゃこうしたらどうなるかな?」

 

男の渇いた指が一本、二本とアーシャの秘所へ入り込んでいく。

カサカサしている指がザラつく事もなく、難なく入ってしまう――。アーシャの愛液が潤滑油の代わりをしてしまったからだ。自身の高揚が、まだ誰も入った事のない蜜壺への侵入を許してしまっていた。

 

「はぁ、はぁ……んうぅ!!!!」

 

「あっ、あん……止めて、そんなグチュグチュしたら……」

 

そこからはさらに止まらない。男の指はスローペースの状態から勢いをあげ、桃色果肉の中をかき回していく。と思えば今度はゆっくりと、指でも入れなければ触れない場所をしつこく責め回す。

 

「んぅ……ふぅ……はぁぁ……ぁぁ…ぁん……だめ、だめぇ……」

 

寂しくヒクヒクしているクリトリスへの愛撫も忘れない。人差し指と中指で皮をつまみ、むき出し、優しくも激しく、快楽の水音を奏でていた。

 

「あっ、あぁ……ン、そこは……はぁぅ……! なにこれ、おかしい……なんで、こんな……!」

 

一度嬌声をあげ心のタガが外れたのか、聞いたこともない甘い声も止まらない。

男のねちっこい愛撫に何度もオーガズムを感じ、快楽の電流にビクビクと身体を震わしている。身体の方も脱力を起こし、汚らわしい男に寄り付く、もはや最後のプライドすら砕けそうな状態だ。

 

「はぁ、はぁー、あっ、あぁぁ……んぅう……こんな、ちがう……こんなの……」

 

「もうびしょびしょじゃないか。ショーツからも愛液が漏れ出しているぞ」

 

「んっ、ちゅる……あぁ……おかし……んむう……」

 

アーシャの吐息を隠すように男は再度口付けを交わす。アーシャの若々しい舌と男のガサつくもねっとりとした舌が絡み合い、唾液が混ざり合う。

 

(し、つこい……。くさくて……気持ち悪いのに……何で、これ――強烈で、頭にこびりつく。この感触が、頭から離れない。こんなのが……気持ち良いの?)

 

「乳首もこんなに勃起させて――。こんな汚い男はイヤだったんじゃないか?」

 

きゅっ!

 

「ふぅっん!!!」

 

ぷしゃあああああ!!

 

その瞬間、彼女はビクンビクンと身体を跳ね起こした。トリガーを引いた快楽のスタンガンは彼女の思考を一瞬で真っ白に痺れさせる。

 

「ぁっ……はぁ……はぁ……? えっ、あっ……?」

 

本人も何が起こったのか理解出来ていない。蕩けた表情で惚けている。

 

「乳首をつままれただけで絶頂を迎えるなんてな。とんだスケベオンナじゃないか?」

 

(イッた……? イッたってなに――? わたし、何が起きたの?)

 

徐々に思考が冷静になっていく。泳いだ視界を目と鼻の距離にいる男へ戻す。

この男、自分の身体を当たり前のように触っているではないか?

それを受け入れて甘い声を出し続けた自分を思い出し、弱々しく歯を噛み締めた。

絶頂という感覚を起こし、僅かばかりの冷静さを取り戻したことで、アーシャの瞳に炎がよみがえる。

 

「いやっ! はなして……!」

 

「まだまだ、本番はこれからじゃないか?」

 

「こんな、卑怯な手を使っているあなたに――私は負けない!」

 

しかし身体は言うことを聞かない。きゅんきゅんと背後からコツコツ当たる熱い脈動に、思わぬ期待を求めてしまっている。

 

「今度は本当に催眠術を……かけたのね!」

 

偽りの期待――頭を穢す欲望を遮り、振り切り、力の限り抵抗を見せる。

すると男は口元をゆがめ、彼女の身体を押し倒す。もちろん男が見下す体勢で、カビ臭いベッドに寝かせる。ボロボロの臭いブリーフからピクピクと蠢き、今にもボロ布をはち切りメス穴を求める主張をした男の肉棒が眼前へと向けられた。

強烈な男のスメルに思わず鼻がもげそうになる。

 

「そう、私は君に【絶対服従】の催眠をかけた。これからは私の言うこと、やることには逆らえない」

 

「ひ、卑怯モノ……! げほっ、ごほっ……!

っ~~~! なんで、こんな、臭い……のよ。頭に、こびりつく」

 

アーシャ自身それ程臭いに敏感なわけではないが、男の臭いは格別だった。もはや人間ではなく魔物の類なのではないか? そう思えるほどに――。

 

「それはもちろん私がこの洞窟から出たことがないからね。2~3年は篭もってるんじゃないか?」

 

「っう……!」

 

次第に表情も青ざめる。しかし――どこか、表情にトキメキのようなものもうっすらと表れていた。

 

(違う、違う……! これは催眠! こんな心に負けちゃいけない)

 

「君はもう私の臭いを忘れることは出来ないだろう。それほど印象づけられてしまった」

 

「あっ……」

 

ボロ布をズリ下げ、とうとうその姿を現す。布から解放されたソレは赤黒く、周りには白い粒々のついており――まるで手入れもされてないグロテスクなイチモツが、今、目の前にあるのだ。

男の口とは比べ物にならない独特な臭いを放つソレは、並の女性なら見ただけで卒倒してしまうだろう。

 

「そ、んな……。何で……」

 

(ちが、う……これは催眠で……やだ、臭いが頭の中に入ってくる……こんな、こんなの……)

 

「はぁ、はぁ……んっ、はぁ……」

 

「こんなにヒクヒクさせて。そんな挿れて欲しいのかい?」

 

「ちが! そんなわけ……んっ! なん、なの……これ……!」

 

しかしアーシャは嫌悪しつつも頬を赤らめていた。先ほどからあった異変が徐々に身体へと表れていく。

 

「ふふ、絶対服従の催眠は徐々に頭へ、身体へと刻まれていく。私の全てを受け入れるように、身体が変化していくんだよ」

 

「ま、まさか――」

 

「この独特な臭いを【私】と認識してしまった。つまりそれを受け入れ、こうして――」

 

アーシャの両足を男が掴む。そしてパックリと開いた割れ目にズプズプと挿入した。

 

「あっ! あああぁぁぁぁあああ!!」

 

「私のチンポがないと生きてはいけない身体へと変化していくのだ」

 

「あっ、あぁぁ……! はっ、ああっぁあ……!!!」

 

ミチミチと処女膜が破られていく。だが不思議と破瓜の痛みは感じていなかった。

それは彼女自身が求めてしまっているからだ。催眠による効果でそのチンポを求め、悦楽を感じてしまっている。この痛みすら男が自身にくれる快楽と錯覚し、悦びとして脳内に刻んでしまう。

 

「! いや!! あぁぁ……んぅ……ちが、いやなのに……あっ、あぁ……」

 

悦びを頭で否定するが身体が求めてしまう。強く凛々しい彼女とは思えない声が部屋中に響き渡ってしまう。否定しても抑えきれない――!

 

「はぁ、はぁ……ふぅぅ……あっ、あん」

 

「挿れただけでこれほどの反応、君はよっぽど感じやすい身体なんだな」

 

「ちが、ぅぅ……。許さない、あなたは絶対捕まえて――んぅうう!!」

 

これ程のゲス男に絶対服従――今まで培った全てを、鍛え上げた身体を永遠に弄ばれる。下手したら魔物になるよりも辛いことだろう。力強く目を閉じ、頭を横に振る。閉じた瞳からは涙も浮かんでいた。

だがやはり疼きは消えない。秘所から洪水のように流れていたアーシャの愛液は彼女の本心と反し、指より一回りは大きい男の肉棒ですらすんなり受け入れてしまった。

間髪入れず、脂にまみれた悪臭チンポがアーシャの膣内を穢していく。

 

(こんな、こんなのが私のはじめて――はじめて、犯されて――気持ち良い。こんな感覚、はじめ……て……)

 

「あぁん……! なんで、こんな……! あっ、あっ、あっ、……あぁ!!」

 

催眠の効果はキスをはじめに、本格的に出始めていた。炎を宿した反抗的な瞳は瞬く間に快楽に蕩け、先ほどから声を押し殺すことも出来ずにいる。

 

「あはぁ……いや、いやぁ……あっ、んぁぁ……はっ……ぁぁ……」

 

パンパンとリズミカルな音を奏で、アーシャの子宮をコツコツとノックする。

 

「はぁ、はぁ……やっぱりアーシャ君は最高だよ。鍛え抜かれたこの身体、そして膣の締まり具合、魔力も残ってないのにまだギリギリ抵抗する意思を残す強靭な精神、どれをとっても最高だ」

 

「あぁっ……ぁ……! んぁぁ……あぁっ……! あぁ!!」

 

「とは言えもう限界か。私の言葉なんて聞こえてすらいないかな?」

 

前後運動だけでなく、幅広く横へ、かき回し、彼女の中全てを堪能するかのように男は腰を振っていた。

そしてアーシャの腰を支えた手で、彼女を抱き寄せ――

 

「はぁ、はぁ……んうう……。ダメ、この臭い――だめぇ。とろけちゃ……はむぅ」

 

四度目の口付けを行う。

 

(あのときもキスされて――力が抜けて、そうだ。やっぱり気持ち良くてぇ……。ビクンビクンって……)

 

催眠効果が強くなったのか、記憶すら混濁し始める。24号にされたキス吸収もこの男が行い、それが今と似たような状況――脱力した事で気持ち良いと錯覚し始めていた。

こうして彼女の記憶すら書き換えられていく。

叩かれた痛みも気持ち良く――、

男が放つ悪臭にたまらなく興奮を覚える性癖を持ち――、

しつこいキスがたまらなく好きで――、

拘束されて犯されることに興奮するマゾ体質――

私はこの男なしでは生きられない。

頭に次々と上書きされていく――これはもはや催眠というレベルではない。洗脳そのものだった。

 

「はぁぁ、気持ち良い。私……こんなの……はじめて。あっ、そこ……! あっ! あぁっ!」

 

快楽、満足、快感――男の抽送に、一突きするたび彼女は満たされていく。

偽りの悦楽だと判断する彼女の理性はもはや存在しない。

男がくれる悦びにただただよがるだけ――。

先の戦闘から6時間程度――困難な状況でも懸命に立ち向かう【アーシャ・リュコリス】という存在は消えていた。

犬のように荒い息遣いで腰を振り、男の首を回し、自分から舌を出す。

それは傍から見れば快楽の海に溺れたメス犬のよう――別人であった。

 

そして――

 

「ふぅ、ふぅ……そろそろ出すぞ」

 

「あっ、あっ、あぁん……はぁ……お願い!」

 

びゅる!! びゅるるるるる!!

 

「あっ、ああぁあぁぁぁぁあん!」

 

熱く滾った白濁液が、彼女の中を満たしていく。ドクンドクンと脈を打ち、何度も何度も果肉を白く染めていく――。

 

「はぁー、はぁーー。あっ、あぁぁ……」

 

男の腰の上で何度もオーガズムを感じ、満足げな表情を浮かべるアーシャ。口元に笑みを浮かべ、心底満足げだ。

しかし男のしつこく粘っこい射精が終わり、一息ついたところで――蕩けた目が見開いていく。コマ送りのように笑顔から絶望の表情へと変わっていく。

 

「あっ、あぁぁ……」

 

「ふふふ、まだまだこれからだよ」

 

歯は震え、目からはとうとう涙がこぼれる。濁った口を洗い流したくなる。

彼女は両腕をだらんと垂らし、力なくうなだれる。そして自分の中に入っていくソレを目でも感じてしまう。

 

「こうして絶頂するたびに絶望し、反抗する君を見れるのも今だけか。あと何回で、完全に堕ちちゃうのだろうね――くくく」

 

(私、わたし――は……)

 

「あぁぁ、あぁぁぁぁああ……。あっ! あぁぁぁああああ……」

 

嗚咽を漏らし、泣き叫ぶ彼女の表情からは――生気が消えつつあった。

 

 

――4――

 

 

――以上が、今回の報告です」

ギルドに戻ってきたアーシャは今回の事件の顛末を事細かに伝えていた。
今回の事件は催眠術を操る黒の魔術師による犯行であったこと、
行方不明になってた者達は全て魔物へと変化させられていたこと、
自身も催眠術にかかり、防衛のため戦わざるを得なかったこと。

「そうして自分の作った魔物を倒された黒の魔術師は、
捕まりたくないという感情から洞窟ごと自爆したってか」

マスターとアーシャの会話に子供の容姿をした緑の魔術師が割り込む。

「うん。まさかこれほどの事件だったなんて……さすがに考えてなかったよ」

「そうですね。失踪事件と思いきや、裏でそこまでの出来事が起きていたとは――
催眠術にかかり倒さざるを得ないという、全てが褒められるものではないですが、
よく無事に戻って来てくれました」

「私もよく無事に帰って来られたのか不思議でしょうがないです。相手が油断してなかったら私もきっと……」

苦笑して誤魔化しているが、その表情は疲労が如実に表れていた。

「それでマスター、一つお願いがあるのですが――

「何でしょう?」

「しばらく、お休みをいただけませんか?」

「ほう。アーシャさんがそう言うなんて珍しいですね。どうしてですか?」

「今回の一件、私が催眠術にかかったせいで誰1人として助けることが出来なかった。
私の力不足です――。だから少し、1人で特訓をしたくて……

「そりゃしょうがないと思うけどね。そんな状況から無事に帰れた時点でもう勲章ものだよ」

「エリック……

……分かりました。アーシャさんが不在の分はこちらで補います。
十分に休んでまた元気な顔を出してください」

「ありがとうございます」

そうしてアーシャはギルドから出て行く。
その姿を緑の魔術師【エリック】は疑うような視線で見送った。

……なあ。あいつ、様子おかしくなかったか?」

「無理もありませんよ。どんな依頼にも犠牲はつきものですが、今回の一件はあまりにも甚大だ。成り行きとはいえ、それを彼女1人に任せてしまったんですから」

「いや、そうじゃなくて……。あいつ、本当に無事に帰って来たんだよな?」

「そうですね、あのあと彼女の報告を受けて騎士団が派遣されましたが
洞窟の爆発跡、焼死体が1人、と彼女の報告通りでしたよ」

エリックはその言葉に嘆息する。

(確かに催眠術にかかってる様子はなかったけど――あんな弱気になるタマだったか?)

「まあ、信頼されてるっていうのも大変だな」

それが信頼による重圧に対する意味なのか――
信頼による仲間の疑念のなさに対する意味なのかは、誰にも分からなかった。

 

----

 

「あむ、ちゅる……んっ……はむっ……」

 

「しかし、あの嘘はちょっと下手だったんじゃないか?」

 

「ちゅる、んっ……はぁ……このクサチンポ、たまらない」

 

それから黒の魔術師は――アーシャの住む国よりも遠い辺鄙な孤島に腰をすえていた。

またしても無機質な密室で研究に没頭し、男の椅子の下には丹念にイチモツをしゃぶる深紅の少女――【アーシャ・リュコリス】がいた。

 

「特訓なんて、もうアーシャ君はこれ以上ない程強いじゃないか。うぅ……」

 

「良いんです。前の私は割と責任感が強かったので。それにきっと信じてくれますよ。あっ、ん……ちゅるる」

 

「そうだったな。そのためにアーシャ君を手に入れたんだし」

 

「んっ、ちゅるる。凄い、ヒクヒクしてる。ここを舐めると気持ち良いのかな?」

 

「おぉ、大分上手くなったんじゃないか」

 

以前までは見ただけで嫌悪の表情を浮かべていた男の肉棒も、今では自分からしゃぶっている。それも嬉しそうに――。

エリックが言ってた通り、今の彼女は催眠にかかっていない。もはや催眠をかける必要すらなくなったのだ。それほど男の調教は進み、【アーシャ・リュコリス】という少女は完全に壊れていた。

五感全てに、脳に刻まれた男の身体を――ただただ欲している。

 

びゅる! びゅるるるる!!

 

「んっ、んぅう!! んぅぅ……ん、ふぅ……」

 

射精しても驚く様子もなく、丹念に飲み込み、漏れ出した精子をペロペロとふき取っていく。

 

「さてと、それじゃそろそろ一仕事してもらおうかな」

 

「先日君が倒した魔物の補充だ。君はこの孤島で特訓していたが魔物が棲みついていたという話を漏らし、何人か連れてきて欲しい。そうだな、出来れば国の騎士団が良いな」

 

「国の騎士団……ですか?」

 

「落ちこぼれでも、多少は鍛えてはいるからね。こないだの24号も一般人よりは遥かにマシだった。まあ少し自我が強すぎるから、消えてもらったが」

 

「ふふ、分かりました」

 

それから数日後――アーシャのいる国を震撼させる程の失踪事件が起こるが、その主犯はまだ見つかっていない。

 

END